2021/10/05

『絵のない絵本』/ハンス・クリスチャン・アンデルセン(矢崎源九郎:訳)《感想》『お月さまが見てる』たくさんの小さな夜のお話。最後に訳者の解説付。

あらすじ&おすすめポイント
    夜毎、私に「お月さま」が語りかけてくる。それを書き綴った、まるで絵本のような小さなお話。

  • 童話。短編集。

感想とネタバレ

解説をみて気づきました、あの有名な「アンデルセン」の作品。名前が先なので、最後のアンデルセンが見えていませんでした(!)

現代日本人の幼少期に培う物語の一部はアンデルセンで占められているといってもいいと思えるほどの、アンデルセン(グリム童話もそうですが)。他の作品を確認してきましたが、『人魚姫』や『マッチ売りの少女』、『赤い靴』などちょっともの悲しい作品が多い印象です。

そして今回の作品は原稿用紙一枚分くらいのお話が三十三編綴られています。
多分に漏れず、もの悲しいお話もあり、けれど他には、にこやかなお話、ほっこりするお話もありますので、楽しめます。

個人的には、お月さまと会えなかった夜の作者の物憂げな一作品が好みでした。とても素敵な表現でその文章の情景が浮かぶと、タイトルにもどる感じがまた良いです。自分の中に「絵」が浮かんできます。
絵が上手な人はそれを具現化したくなるような作品かもしれません。

自分は通勤中の昼間に読みましたが、夜のお話なので、静かな夜にゆっくり読むのがもちろんおすすめ。


青空文庫