『花火』/太宰治 | あの書物を片手にして

『花火』/太宰治

花火
花火
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(2012-09-27)

作者はただ、次のような一少女の不思議な言葉を、読者にお伝えしたかったのである。

あらすじ

兄は放蕩息子だった。妹に毎度金品をせびり、父の絵画を売り払う。兄の横柄な態度はどんどん悪化していき、ある夜、酔ったまま金の無心のために妹に電話をかけ……。

おすすめポイント

放蕩兄貴のサスペンスです。作者の「不思議な言葉」で、落ち込みたい人向け。短編ですが、太宰節が炸裂しています。


●『花火』/太宰治の感想


短いながらも太宰治の闇がきちんと落ちがついて投影されている作品でした。

引用の先の言葉が彼の闇を表していると知ると、彼の世界はやはり壊れているんだなと思います(そこが作品の味ですが……)。埋まらない自己承認、自己肯定によって被害妄想的絶望が言葉として現れる典型の作品かもしれません。

この話の筆を置いたときの太宰のやるせなさ感とやってやった感がじわじわくるので、精神的に参っているときに読むと、作品と一緒に落ち込んでいくので要注意です。
そこが太宰作品の醍醐味だと思いますが(一応)

タイトルの花火は作中に出てこないので、何かの隠喩なのでしょうか……。
お父さん……?