2019/03/27

『植物一日一題』/牧野富太郎

植物一日一題
私はこれまで数度にわたって、アジサイが紫陽花ではないこと、また燕子花がカキツバタでないことについて世人に教えてきた。けれども膏肓こうこうに入った病はなかなか癒らなく、世の中の十中ほとんど十の人々はみな痼疾で倒れてゆくのである。哀れむべきではないか。 そして俳人、歌人、生花の人などは真っ先きに猛省せねばならぬはずだ。
『植物一日一題』

あらすじ&おすすめポイント

一日一題その植物について、コンパクトに書かれています。
が、自分の既存の植物知識を覆したい?!人向け。
世間との知識のずれに、あたまがとても混乱するかも知れません……(?!)

感想

このエッセイを読んでいくと驚きの連続です。

漢字の「紫陽花」は、日本の「アジサイ」とは違う花だとか……そんな感じの、輸入した漢字と日本の植物の不一致ネタは大変興味深いです。

読み終えると、今までの自分の少ない知識と、このエッセイの知識とがごちゃまぜになってわけがわからなくなります(笑)
そこが読書の醍醐味かもしれませんが、混乱は必至です。

驚きの連続で、読んでいてとても楽しかったです。

しかし、こうやって権威の先生がこうして書いていても、訂正されずにそのまま我々の知識は受け継がれていくのですね……(遠い目)

「栗は日本になくクリは中国にない」。こう書くと誰でも怪訝な顔して眼をクリクリさせ、クリはどこにもあるじゃないかという。その通りクリは日本のどこにもあるが、しかし栗は日本のどこにもない。けれども漢和字典のようなものを始めとして、いろいろの書物にみな栗をクリとして書いてあるではないかと言い張るだろう。
『植物一日一題』