2019/02/14

『魔法少女まどか☆マギカ(全12話)』/アニメ《感想》たった一つの「奇跡」と引き換えに……、魔法少女にあこがれる少女のお話。

作品紹介
  • 原作:Magica Quartet
  • 監督:新房昭之
  • 音楽:梶浦由記
  • 脚本:虚淵玄
  • 放送:2011年冬アニメ
  • 制作:シャフト


奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ。 『魔法少女まどか☆マギカ 第7話』


あらすじ&おすすめポイント
    物静かな転校生がやって来た。彼女の名前は暁美ほむら。
    彼女はなぜか執拗に鹿目まどかに「魔法少女になるな」と言い続けるが……。

  • 魔法少女もの。ですが、「これまでの魔法少女」をかなり逸脱していて、「これまでの魔法少女」とは何かと(勝手に)考えさせられた作品。おすすめです。

感想とネタバレ

一世を風靡していた(る?)魔法少女アニメ。再完走です。かわいいキャラデザに反して予想とはまったく違ったストーリーのアニメ。控えめに言って、えげつないです。

世間では3話から面白くなったという話なのですが、個人的には1話の時点ですでに引き(構成)がいいので、わくわくした思い出があります。
といいつつ実はリアルタイムで見た!と自慢(?)できない、大震災で引き延ばされた最終回のみをリアルタイムで見た人間です。(最終回よりも、番組CMのテキーラ/サボテンが気になったのは内緒です……)

一話切りアニオタになるきっかけになった作品といっても過言ではないかもしれません……。

オープニングの歌詞の伏線に気がついたら、涙なくして聴けない時期がありました。
そのOPの黒猫が全く関係ないと知ったときはすこし残念でした(笑)

再完走しました。(2021年9月)

コロナ禍のこの時代でも、ぐさりと突き刺さるアニメだと再確認しました。萌え作画アニメですが、深いです……。

当時は、キュゥべえについて、なんてひどいやつがいたものだと思ったものですが、今となればキュゥべえがかなり良心的だったことに気づき、悪し様に言われすぎててちょっと笑いました。願いを必ず一つ叶える奇跡を起こしてくれるので、無用に間引いてくるより個を尊重してくれている分、本人も言うとおり、かなり良心的だったことに気づきます……。

作中の「だまされていた」「訊かれなかったから」のこの言葉のやりとりも、「だまされていたことに気づかなければ」しあわせでいられたのかと考えさせられます。結局ほむらちゃんだけが知っていたことになりますが……。

「そういうもの」からだまされないようにするにはどうしたらいいのか、考えてしまいます。アニソンの歌詞で「近寄るのは偽善者の甘い罠」(『スクライドOP』)とありますが、自分がどれだけ偽善に酔わされているか。

本当は自分自身も汚い存在なのだと認めなければ、相手の偽善を看破することはできないのかも知れません。……。だまされることを想定して生きていくのが、だまされない自衛の生き方になるのでしょうか……。

この作品の願いを呪いに変える、というこの、願った魔法少女が呪って魔女になるという設定も衝撃的です。
ここで感嘆するのは「願う」と呪いになるという…。「祈り」と「願い」の違いはそこにあるのかもしれません。人は平気で「神様なんていない(キリッ」と言いますが、神様は果たして我々の願いを叶えてくれる存在なのか。願いを叶えてくれるのはそれは「契約」を通して行うもので、対価を支払わなければ、叶わない。……。

神様とはただ、小さな祈りをきいてくれる存在だとすれば『沈黙』(遠藤周作)というのはそういうことで、だからまどかちゃんは、神に等しい概念に……誰にも気づかれない、祈りを浄化する概念になったということでしょうか……うっ(泣)
※個人の感想です。

この作品を見ていない方も、見た方ももう一度、是非是非このコロナ禍で、ご覧になってはいかがでしょうか。何度見ても、考えさせられる良い作品です。

見ていない方はまずは試しに1話を是非。



主題歌

オープニングテーマ


エンディングテーマ



公式サイト等