2018/07/17

『おたくの本懐―「集めること」の叡智と冒険―』/長山靖生

おたくの本懐―「集める」ことの叡智と冒険 (ちくま文庫)

著者:長山靖生
発行:2005年01月10日
出版:ちくま文庫



コレクターたるもの、目利きを超えて“目明け”を目指す気概が必要だろう。既成の価値観に捉われず、本当に自分が嗜好するところにしたがって、自分だけの体系を創っていくのである。
216頁


真に孤独である人は、他者の孤独性(それを個人の尊厳と言い換えてもよい)に対しても寛容な認識を持っているのであり、それなりの優しい気配りもできるものである。
228頁

あらすじ

古書好きの著者が語る、おたく気質とは何かということを本人も含め、いろいろな日本人を通して語るエッセイ。

おすすめポイント

渋沢龍彦、荒俣弘、南方熊楠などが登場。なぜコレクションをするのか。どういう信念でコレクションをしているのかがわかります。




感想とネタバレ

この本で本質を突かれてしまって呆然としています。
なにかというと、今まで疑ってもいなかった(!)自分がオタクかどうかという疑問が浮上してきました。


逃避のために、とりあえず求めるのであってはならない。“なに”を求めているかをはっきりさせることが重要なのである。


いやはや……実は自分はただの逃避だったということに気づいてしまいました…w
たしかにおかしいなー?と自分でもここ最近自覚があったので、ここでばっさり切られたのは良かったのかも知れません。……本音を言うともっと早く切って欲しかったw……。

この本では、オタクというか、マニア様がでてきます。最近周知なマニア様といえば、タモリさんですが、ああいう自分の好きなものに情熱をかけることができるのは本当にすごいし、うらやましいですね。

自分をふりかえれば、特段何かに情熱をかけていたものなんてなくて、今が面白いからそれにはまっていただけなんだなと理解してぞっとしました。

このブログも、何も続けることができない自分が唯一できそうなものをやっているとはいえ、(もうすぐ一年が経ちますが)……目標の100記事も書いていません。できないことが多すぎて、自分の浅はかさにようやく気づいたと言いますか……。

なんでこんな話になったのか!
おたくの本懐、コレクターの人もコレクターじゃない人も、憧れている人は必読ですw



2018/07/08

『法華経ー真理・生命・実践ー』/田村芳朗

法華経―真理・生命・実践 (中公文庫BIBLIO)

著者:田村芳朗
発行:2002年11月25日
出版:中公文庫


結論的にいえば、現実は雑多・有限・相対の世界である。これが現実の事実相である。その事実相をあくまで事実として認識しつつ、そこに統一的真理を見、絶対的境地を感得するのである。(略)真の仏(本仏)はこのようにして見いだされる。

(143~144頁)

あらすじとおすすめポイント


成立・思想・日蓮主義の三本立て。法華経入門にぴったりのやさしく丁寧な解説で読みやすい一冊。




感想とネタバレ

某掲示板の(何故か)アニメスレで、「100分で名著」の法華経回がいいぞという話をみて、その本を読みました(宣伝?)。法華経の教えがわかりやすく掻い摘まんであって、その本も入門にぴったりでした。で、もっと知りたいなと次にその方の一回目の翻訳本を借りて読みましたが、自分の脳みそで理解できるはずもなく……(汗)。他の解説本も読んでみましたが、どこか物足りない。で、出会ったのが本書です。





法華経に対する批判・批評家も交えて法華経とは何か?に迫る内容がよかったです。しかも、批判しているのが、江戸時代では有名な本居宣長などですからまた驚きました。


たしかに、法華経の成立(と翻訳原典)を見ていくと、一般民衆(在家)ではなく、仏教を伝えていくお坊さんたちにあてた戒めみたいな要素が強いなという印象がありました。なので、原典(上巻)を読んでいてもちんぷんかんぷんな部分が多かったです……(言い訳)??



つまり、永遠なる存在についての表象のうち、世界創造とか世界統治のごときは仏教の根本思想に抵触するものとしてはずし、もっぱら苦悩の救い主の面を強調したものであるという。

(131頁)

目から鱗だったのが、仏教の根本的なものというのが苦しみから抜け出すことということは知っていましたが、西洋宗教の「創造」という概念に触れていないことにこの本で知りました。これは大きな違いですね……。これぞ仏教が哲学と言われるゆえんでしょうか……。

しかし、そうはいっても、神(仏)などいない。という台詞を思っている人は多いですが、本当にいないのか?ということを本書では何人かの人を通して問いかけます。

どこに書いてあったか聞いたのか定かではないのですが、お腹が痛いときわけもなく「ごめんなさい、ゆるしてください」とすがったと言う話……。それを聞いたとき、自分も経験があるなあと思い出しました。人が本当の苦しみを感じ、自分の力では解決しようのない苦しみが身に降りかかったとき、人知(知覚)を超えたものへの救済を願うのはまさしく、宗教のあり方の一つなのかもしれません……。(たとえが腹痛なので、すっごく微妙なのですが……)

個人的にポイントだったのは、宮沢賢治について。
国柱会に入っていたのは知っていたのですが、法華経の集まりだったことがわかってすっきりしました。……『春と修羅』の終わりの方にその真言が入ります。『ひかりの素足』には法華経が色濃く反映されていることはわかりました。

(反転・注意)エンタメの内輪話。
大好きなとある小説で、空海が取り上げられていて、その影響で空海が好き?だったのですが、ミーハーな自分はその後、艦隊これくしょん(ゲーム)で「比叡」ちゃんが好きになり、(比叡山の最澄って空海に比べて影が薄いのでは?)と常々思っていました。今回この本で、天台宗は法華経・華厳経の教えを大事にしていたと知っていろいろ驚きが多かったです。今後も比叡好きとしては最澄関連に注目しようと思います。




2018/07/01

『ミイラの飼い方(全12話)』/アニメ《感想》ミイラのミーくんが……ッ! かわっ! いい……っ!!(他の子もかわいい!)

あらすじ&おすすめポイント
    自称・冒険家のオカルト収集に目がない父親。その送りつけてくるお土産に毎回大変な思いをする主人公。そんな彼の元にある日、エジプトから大きな棺桶がやってくる。そのなかに入っていたのは………ミイラだった……。

  • 異形のものたちとの日常ギャグアニメ。本当に、ミイラのミーくんかわいいいいいい!!!です。癒されます。