その人ははだしでした。まるで貝殻のように白くひかる大きなすあしでした。 ひかりの素足
あらすじ
一郎と弟の楢夫は、雪山で遭難する。遭難した二人が見たものは、同じ年頃の子供たちが異形のものに追い立てられ、歩く行列だった……。
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感想とネタバレ
『銀河鉄道の夜』をキリスト教モチーフの物語だとすると、こちらはそれの仏教版のような感じです。日常から切り離された二人が、「違う世界」に誘(いざな)われるところは共通しています。
しかし、銀河鉄道はこの作品と比べると長いお話なので、楽しいこと、わくわくすることやさみしいことを交えて語られるのに対して、このお話は短編なので、民話のような恐怖・畏怖が前面に出ています。読むときは注意です。
風の又三郎も、名前だけ出演しています(笑)
こちらも同じように「おいて行かれる」作品です。
穿った見方かもしれませんが、やはり永訣の朝が根底にあるために生み出された作品のようにも思えます。
ひかりの素足によって、子供たちはそのうつくしい世界へ旅立てるのでしょう。
かがやかしく、苦しみもないやすらかな場所へと……。
青空文庫
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