作品紹介
- 著者:リザ・テツナー
- 訳者:酒寄進一
- 発行:1995年01月01日
- 出版:福武書店
あらすじ&おすすめポイント
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ミラノへ行く、数十人の少年を乗せた舟が転覆した。
それは、家族に売られた少年たちがイタリアで煙突掃除をするために乗っていた舟だった。
- 『ロミオの青い空』(アニメ世界名作劇場)の原作。児童文学なので読みやすいです。思っていたよりもハッピーエンドでした。
――――ジョルジョは、度重なる不運によってその舟に乗り、ミラノへ行くことになるのだった……。
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感想とネタバレ
かなり前から何度も読もうとトライしていたのですが、「黒い兄弟」という題名から受けるイメージがなんだか怖くて読めず、ようやく手に取りました。「煙突掃除」だから、黒いのですね……。その題に怖じけづいていましたが、内容はそんなことは全くありませんでした。
なのでけしからんとは思いますが、タイトルで言えば、「ロミオの青い空」がとても作中を表現する題名としてとても感動します。
ロミオが煙突掃除をしながら近くなった空を見上げている情景を思い浮かべることが出来るので、読み終わったあとの話全体を余韻として思い出すこともできる素敵なタイトルだと思います……。
ストーリーの感想
前半、スイスの情景がとても丁寧に書かれていて、これから起きるであろう出来事など微塵も感じさせない文章が続きます。スイスの自然。作者がどれだけその風景を愛しているのかがわかります。しかし、そんな自然も牙をむき、そして現実はしあわせでいることを拒むかのように苦難を引き連れて襲ってくる――……。 読み終えると児童文学として愛される理由がわかります。
個人的には、ミラノの話がメインなのかとおもっていたので、前半のスイスで割かれたページ数を考えるとちょっと物足りなかったです。
ジョルジョが主人公なので当たり前なのですが、ジョルジョ贔屓に友人のアルフレッドとのバランスが気になってしまいました……。アルフレッドに多めに感情移入すると、ジョルジョのための都合のいい役(設定)としか思えなくなってしまって……。そこが残念でした。
作者は友情をメインに書きたいわけではないと思いますので、そこは現代日本の作品に慣れきってしまった個人の感想です……あしからず……。
小さな頃に見ていましたが、ほとんど覚えていないアニメをもう一度見てみようと思います。
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