2025/09/18

『貸本版 悪魔くん』/水木しげる


悪魔を召喚したい悪魔くん。

今で言うと、同人誌のようなちょっと軽い感じのコマ割りや作画に味があって、作品の「雰囲気」を存分に出しています。 紙の本だったら(電子書籍ですみません…)もっとおどろおどろしい感じで手に取れるのだろうなと思うと、当時の子供になりたい!

この貸本版を読んでみると、悪魔くんの本名に驚きと、悪魔くんの秘密基地の場所に驚きと。悪魔くんのラストに驚きと。

とにかくアニメの悪魔くんとは全く違い、驚くことの連続です。水木先生のオカルト知識量の多さに驚き、その意味がほんの少しでもわかるようになった今、現代人はもう取り返しの付かないところまで来ているのか、……どうなのでしょうか。 地味に某事件の予言のような描写もあって怖かったです(考えすぎだ!)。

悪魔くんは悪魔に詳しいだけで、「悪魔ではない」ことにインパクトだけでなく、そこに重要な意味があるのかも知れないと思うと「悪魔くん」という恐ろしい名前のキャラクターを産んだ先生の想像力(語彙が見つらない)に脱帽するしかない。

しかし、本当の悪魔はすでに解き放たれて、だれも制御できない世界になってしまった。我々の住む世界はいま誰が掌握しているのか。

読了するとそれを噛みしめて考えてしまう一冊。